ノグラボ「超」整理手帳コミュニティ
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インタビュー 番外編
今野ひろこさん(オーソドキシー)
「 2006年オーソドキシーの「超」整理手帳カバーは小さなバックがコンセプト 」

オーソドキシーは、代官山にある鞄と小物のオーダーメイド(インタビューの中で述べているように、オーソドキシー自身は「オートクチュール」と称している)を行っている店である。そのスタイルは独特である。オーダーをしてもらう際には、代官山の店舗に行き、店主の今野さんに相談する。今野さんは、質問をしながら、紙にスケッチ画を書き始める。質問内容は、カバンに入れたいものから職業や服のスタイルなど、広い範囲に及ぶ。そうこうしているうちに、作りたいカバンのイメージができあがり、カバンの形や革の色、ステッチの色などが決まる。その間、30分の場合もあれば、数時間かかることも珍しくないそうだ。その後、およそ1ヶ月から2ヶ月で商品ができあがる。服のオーダーと違って仮縫いなどはなく、一発勝負である。多くの場合、お客は、頼んだときに持っていたイメージを遙かに超えるレベルになっていることに驚くという。

実際、顧客には、数々の著名な人々を抱えているほか、その技術とデザイン性が高いレベルで調和している点で、雑誌に取り上げられることも多い。そんな、一般の人から縁遠いオーダーメイドの世界にいるオーソドキシーが、実は、「超」整理手帳の世界では、10年ほど前から、手帳カバーをオーダーメイドで作ってくれる店として、かなり知られていた。オーソドキシーのお店に行くと、その理由がわかる。これまで、数々のPCやPDAのケースを手がけてきており、小物の制作を得意としているのだ。通常、革製品のオーダーメイドのお店に行くと、カバンだけとか小物だけとか、得意なジャンル以外を扱うところはきわめて少ない。そんな中、オーソドキシーは大きなカバンからiPod nanoのケースに至るまで、自由自在に制作できる珍しいお店なのである。また、オーソドキシーでカバンをつくると、普通では手が出ないほどの値段になる。これは型紙一つにつき商品を一つしか作らない、というオーダーメイドの世界では当然のことではある(普通の商品は型紙一つから何百個〜何千個も作る)。だが、「超」整理手帳のような小さくシンプルなつくりのものであれば、それほど高くならず、オーダーが可能になる。だから多くの「超」整理手帳ユーザがこれまでオーダーメイドの世界に足を踏み込んでいったのだろう。

そんなオーソドキシーが、ノグラボに「何かおもしろいことをしましょう」と声をかけてきたのが、5年前のことだ(このあたりの詳細は「オリジナルカバーストーリー」を参照のこと)。それ以来、ノグラボでは毎年恒例のように、オーソドキシーが提案する独創的なカバーを紹介し、購入者をとりまとめてオーソドキシーに制作をお願いするという企画を行ってきた。

こうして、ノグラボは、オーソドキシーの今野さんと数年間にわたり、おつきあいをさせてもらっているが、その間、今野さんから教えられることは数え切れないぐらいたくさんあった。たとえば、5年前に初めて共同企画を行ったときに、今野さんは、「革製品は一生ものというのはウソです。そういうことを言ってはいけません」と強い調子で言われたことは今でも印象に残っている。本当に革を愛し、常に高いレベルを目指して商品を作り続けるオーソドキシーの姿勢については、いつか多くの人に伝えたいと思っていた。

今回、オーソドキシーが、これまでとは全く違ったレベルの商品を作りたい、という強い思いからメダリオンとコンテスを提案されたのを機会に、オーソドキシーの店主である今野さんに話を聞くことにした。今回の商品の話に限らず、オートクチュールの意味や革製品全般の知識など、非常に興味深い内容になったので、皆さんにもぜひごらんいただきたいと思い、ノグラボのサイトで公開することにした。読むだけで、革製品について、今までとは違った目で見ることができるようになること請け合いである。

■ オーソドキシーが「感覚」を重視するわけ

(山本)今年で「超」整理手帳は11年目ですが、今野さんは最初のときからずっとカバーのオーダーを引き受けてくださっていました。最近では、ノグラボのサイトで恒例ともなった、毎年斬新なカバーを提案されています。オーソドキシーでオーダーが来る手帳カバーって「超」整理手帳が多いんですか?

(今野)「超」整理手帳かほかの手帳って感じでダントツで多いですね。

オーソドキシー店主 今野ひろこさん

(山本)オーソドキシーに行くと手帳のカバーを作ってくれるっていうのは、ずいぶん昔から有名でしたね。

(今野)発売して1年くらいで何人もいらっしゃいました。当時は、すごい怪作をいっぱい作りましたね(笑)。昔は凝る人が多かったんですよ。凝りかたもすごかったですよ。

(山本)PDAとかいろんなものと組み合わせたりですか。

(今野)あれもこれもと機能満載にしちゃったんです。

(山本)最初はそうなっちゃうかもしれませんね。元の手帳がシンプルだから、これに足して足して、足していこうと。

(今野)でね、頭がクールダウンしていくと引いて引いて引いて、これ以上引けないくらい引いてきて、今は引いた感じが多いですね。

(山本)オーソドキシーがつくる手帳カバー自体は、変わってきていますか。

(今野)最初の3,4年はがんがん変わってました。今の定番になるのに5年はかかってますね。現在のラインナップは、サイズ、革の厚み、全てを変えました。寸法も革の厚みも、もうコンマ何ミリ単位で変えてます。

(山本)オーソドキシーのカバーって、持っていると納得というかぴたっとくるんですよね。どういう工夫をしているかわからないんですけど、持ったときの雰囲気というか感覚が違うというのでしょうか。

(今野)そういうことなんです。そういった感覚的なところまで気をつけているから収まりがいいんですよ。

(山本)そのあたりを今日はお聞きしようと思います。ところで、「超」整理手帳って巷では変な形だとか、手帳らしくないとかよく言われます。だからなんとかしてかっこよく見せようとしてカバーを作ったりしているんですが。

(今野)手帳って手触りが大事ですよね。いつでも手に持ったりするから。女性の場合の長財布もそうなんですけど、持って胸に抱えていくと「負けないぞ」っていう感覚が出てくるじゃないですか。そういうときに手に馴染まなくてビニールだったりすると頼れないっていうか。だから自分とともに年を経ると感じがよくなるということはいいことですよね。

(山本)オーソドキシーの革ってそういう革ですよね。使っていくうちに風合いが変わっていく。この革の特徴とはどういうところにありますか。

(今野)革自体が使っていくとふっくらしていくんですよ。

(山本)特殊な作り方なんですか。

(今野)特殊ではないんです。一番古い製法を踏襲してその上でいじってないですね。人工的なことを一切してないんです。100%のタンニンで一ヶ月半くらいかけてなめしていくんですね。そうした後で乾かして、タイコで染めるんです。水染めですね。水と水溶性の染料と革を混ぜてガラガラガラといくわけですよ。で、下染めをしてから最後に色の調整として、上から水染めでスプレーします。結局水と染料しか使ってない。あとは革を作る製法上オイルを使うんですが、全部がナチュラルなので、燃やしても有害ガスが一切出ない。唯一燃えるゴミで出すことのできるエコレザーなんです。通常、革を燃えないゴミとして扱うのは、燃やすと有害ガスが出るからです。それと、普通はなるべく手間がかからないように、最後は顔料をかけてしまうから、毛穴がつぶれちゃうんですよ。そういうことを一切してない。

(山本)だから使っていくうちに色が変わってくるんですね。

(今野)そうですね。いくらタンニン100%でやっても、顔料使うと表面的なテラテラな光しかでないのはそのせいなんですね。

(山本)革って、同じ商品でも、結構ひとつひとつ違っていて、難しいなあと思うのですが。

(今野)違いはやっぱりありますね。女性の肌と同じで、お化粧ののりがいい肌か、悪いか。まあもともとの地肌がいいか、いろいろですね。

 

 

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